外資系コンサルファームと日系コンサルファームの違い
「コンサルティングファーム」と一口に言っても、「戦略系」、「総合系」、「シンクタンク系」など手掛ける分野毎に大別することができますが、ここでは「外資系コンサルティングファーム」と「日系コンサルティングファーム」に分けてそれぞれの主な特徴と違いを項目別にご紹介します。
◆代表的な外資系コンサルティングファーム
◆代表的な日系コンサルティングファーム
◆成り立ち
◆コンサルティングスタイル
◆クライアント
◆カルチャー
◆評価
◆年収
◆拠点
◆能力・スキル
◆育成・研修制度
◆労働時間
◆応募資格
◆役職名
代表的な外資系コンサルティングファーム
戦略系
マッキンゼー・アンド・カンパニー McKinsey & Company, Inc.
ボストン コンサルティング グループ合同会社 Boston Consulting Group(BCG)
ベイン・アンド・カンパニー・ジャパン・インコーポレイテッド Bain & Company
A.T.カーニー株式会社 A.T. Kearney
アーサー・ディ・リトル・ジャパン株式会社 Arthur D. Little
株式会社ローランド・ベルガー Roland Berger
総合系(Big4系)
デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 Deloitte Tohmatsu Consulting LLC
EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 EY Strategy and Consulting Co., Ltd.
KPMGコンサルティング株式会社 KPMG Consulting Co., Ltd.
PwCコンサルティング合同会社 PwC Consulting LLC
代表的な日系コンサルティングファーム
戦略系
株式会社 ドリームインキュベータ Dream Incubator Inc.
株式会社 経営共創基盤 Industrial Growth Platform, Inc. (IGPI)
総合系
アビームコンサルティング株式会社 ABeam Consulting Ltd.
株式会社ベイカレント・コンサルティング BayCurrent Consulting , Inc.
株式会社ビジョン・コンサルティング Vision Consulting
IT系
株式会社Dirbato (ディルバート) Dirbato Co., Ltd
株式会社SHIFT SHIFT Inc
株式会社ノースサンド NorthSand, Inc.
株式会社マネジメントソリューションズ Management Solutions Co.,Ltd.
シンクタンク系
株式会社野村総合研究所 Nomura Research Institute, Ltd.
株式会社三菱総合研究所 Mitsubishi Research Institute, Inc.
株式会社日本総合研究所 The Japan Research Institute, Limited
株式会社エヌ・ティ・ティ・データ経営研究所 NTT DATA INSTITUTE OF MANAGEMENT CONSULTING, Inc.
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 Mitsubishi UFJ Research and Consulting Co., Ltd.
独立系
株式会社船井総合研究所 Funai Consulting Incorporated
山田コンサルティンググループ株式会社 YAMADA Consulting Group Co.,Ltd.
株式会社タナベ経営 TANABE CONSULTING CO., LTD.
成り立ち
世界で最初のコンサルティングファームは19世紀末にアメリカで起こったと言われており、その後米系コンサルティングファームが戦略系コンサルティングや経営系コンサルティングなどのコンサル手法を日本へ持ち込み、展開したと言われています。一方日本国内では、研究・調査・分析を本業としていたシンクタンクがその調査結果を元にコンサルティング事業を始めた「シンクタンク系コンサルティングファーム」と、いずれの大手企業グループにも属していない「独立系コンサルティングファーム」があります。さらにここ数年で日本の大手企業の経営課題=DX化となっていることから、DX提案を専門で行う「ITコンサルティングファーム」が急成長しています。
コンサルティングスタイル
外資系コンサルティングファームや大半の日系コンサルティングファームでは、いわゆる「プロジェクト型コンサルティング」のスタイルを取っています。1つのプロジェクトに短くて1か月、長い時には数年をかけて取り組み、大企業を相手にアサインされたメンバーでチームを組み、時にはクライアント企業に張り付いてコンサルティングを行います。コンサルタントは基本的には案件の掛け持ちはしません。
日系コンサルティングファームの中でも主に中小企業を顧客にしているファームは、コンサルタントがクライアントを定期的に訪問してコンサルティングを行う「顧問型コンサルティング」のスタイルを取っています。その場合、一人のコンサルタントが何社も同時に抱え、中小企業の現場まで入り込んだコンサルティングを行います。顧問型では、毎月の顧問料が収入となり、中には、会費を取って講演会、異業種交流会、経営相談などを定期的に行う「経営者クラブ」的な形を取り、会員企業の支援を行うファームもあります。
クライアント
外資系コンサルティングファームや大手の日系コンサルティングファームでは、外資系企業や大手日系企業などを相手にコンサルティングを行います。中には、世界のトップ企業100社のうち91社をクライアントとして抱える世界的ファームもあります。
日系コンサルティングファームの中には、前述の通り中小企業を相手に顧問契約を結びコンサルティングを行うファームがあります。またシンクタンク系ファームは、金融機関や官公庁などを相手にコンサルティングを行うことが多いのが特徴です。また、「環境コンサルティング」や「防災コンサルティング」など、特定の分野に限定している企業はそれを必要とするクライアントに対してコンサルティングを行います。
カルチャー
外資系コンサルティングファームは成果主義を取り入れているところが多く、生産性、効率を評価基準としており、”Up or Out”という言葉に代表されるように「昇進か退職か」を迫られるカルチャーが残るファームもあります。
一方、日系ファームは長期的な人材育成を行い、研修もしっかりと行われます。近年では、日系ファームでも成果主義・実力主義を取り入れ、評価につなげている企業が増えています
評価
外資系コンサルティングファームでは、部下のコンサルタントの評価をするために上位職のメンバーが時間と労力をかけて議論をします。さらに上位の役職メンバーから、評価の妥当性を追及されることもあります。
日系コンサルティングファームは、外資系と同様に上位の役職者から評価されるファームもあれば、同僚や後輩などからの評価も含めた360度評価を取り入れている企業もあります。
年収
年収については、長年外資系コンサルティングファームの方が日系ファームより年収が高いと言われてきましたが、近年では日系ファームでも成果主義、実力主義を取り入れているファームも多く存在することから、外資系ファームと同等、もしくはそれ以上の年収を得ることのできる企業もあります。また昇給についても、外資系同様、高い率を誇るファームもあります。
また、手掛ける分野毎に年収が異なる傾向にあり、例えば戦略系ファームは総合系ファームより約1~2割年収が高いと言われています。これは、クライアント企業や手掛ける案件の規模や単価に差があるためです。
拠点
外資系コンサルティングファームは世界中に拠点を展開し、手掛けるプロジェクトによっては海外拠点のメンバーとチームを組んで企業支援を行うケースが多々あります。
日系ファームについては、各企業共にアジアなどを足掛かりに海外拠点を増やしつつあり、また海外パートナーと提携して日本企業の海外進出などの支援を行っています。また東京・大阪などの大都市圏だけでなく国内の地方都市に拠点を広げ、現地採用やUIターン採用を行うファームも出てきました。
能力・スキル
コンサルタントとしての論理的思考力、説明力やドキュメンテーションスキルは共通ですが、加えていうならば外資系コンサルティングファームは海外拠点メンバーや海外のクライアントの案件を扱うこともあることから、英語力は高いに越したことはありません。また日系コンサルティングファームであっても、グローバル案件を扱いたい場合は転職時に高い英語力があるとよいでしょう。
育成・研修制度
外資系コンサルティングファームはMBA支援制度などを設けているところが多くあり、日系ファームでも大学院やMBA取得のための休暇制度や支援制度を設けている企業もあります。
研修については、日系コンサルティングファームでは未経験者に対してもしっかりとした育成制度を取る企業が多く、メンター制度などOFF-JTの場でサポートする制度も充実しています。また数年のスパンで見守る体制を取っているため、社員は安心して業務に向き合うことができます。
労働時間
外資系ファームは常々残業時間が長く、多い時は月100時間を超えることもあるなどと言われてきましたが、近年では外資系、日系ファームいずれもワークライフバランスの見直しから残業時間を減らす傾向にあります。フルリモートワーク導入などに積極的な企業も増加中です。
応募資格
外資系、日系ファームに限らず、転職の場合は前職で何を行ってきたかが重視されます。明記された応募資格としては、いずれも「2年以上の実務経験」などとした上で、コンサルタント職は大卒以上、スペシャリスト職やプランニング・オペレーション職は高卒・専門学校卒以上などと、必ずしも大卒を求められるものでもありません。
役職名
一般的なコンサルティングファームでの役職名は、
「アナリスト/アソシエイト/リサーチャー」
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「コンサルタント/シニアアナリスト/シニアアソシエイト」
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「シニアコンサルタント」
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「マネージャー/プロジェクトマネージャー」
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「シニアマネージャー」
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「ディレクター」
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「マネージングディレクター」
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「パートナー/プリンシパル」
となります。
日系コンサルティングファームも外資系ファームの呼称にならっているファームが多いですが、中には
「研究員」
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「副主任研究員」
⇓
「主任研究員/上席主任研究員」
⇓
「主席研究員」
といった日本式の呼称を用いる企業もあります。
役職名は、外資系・日系に関わらずファームにより異なりますので、応募の際には求人のある役職の職務内容をよく確認する必要があります。
コンサルティングファームへの転職を考えるなら、「外資系コンサルティングファーム」、「日系コンサルティングファーム」という分類だけで検討するのではなく、「短期でノウハウを身につけて起業したい」など自らの将来像をしっかりと持ち、それに見合ったファーム選びをすることをおすすめします。