メタバースとは~メタバースの今2024! Apple Vision Proって何者?~
メタバースとは?
引用:Unsplash
メタバースとは、インターネット上の3次元仮想空間です。Meta(超越)+Universe(宇宙・世界)から成り立つ造語として作られました。
近年では、自身で作成した分身(アバター)を使ってメタバース空間でのリモート会議に参加したり、入社式や学校の授業に参加したりなど、実際に利用した経験がある人が増えてきました。
そのメタバースにはどのような技術があり、どのように使われているのかをご紹介いたします。
メタバースに用いられる技術例
メタバースに使われる技術は大きく分けると4つに分類することができます。
- VR:仮想現実。コンピューターによって生成された仮想世界をVRゴーグルを通して見ることで現実世界のように感じることができる技術
(例:PlayStation VR、医療研修VR、NTTデータ:隠岐野球教室プロジェクト) - AR:拡張現実。スマホのカメラ等を通して、現実世界と仮想のオブジェクトを重ね合わせて画面上に表示する技術。
(例:ポケモンGO、Measure、RoomCo AR) - MR:複合現実。ARとVRの両方の特徴を持つ。ゴーグルを通して現実世界を見ながら、仮想世界の情報やオブジェクトを合わせて表示し、それらを視線やジェスチャーで操作することが可能
(例:Apple Vision Pro) - バーチャルワールド:インターネット上で構築された仮想空間。
ユーザーが作成したアバターを使用して、バーチャルワールド内を自由に移動し、ユーザー間の交流ができる空間。
(例:Fortnite、メタバース入学式)
これら4つの技術について紹介します。
VR(Virtual Reality):仮想現実
コンピューターによって生成された仮想世界を、あたかも現実世界にいるように感じることができる技術のこと。 実際にVRを体験するためには、VRヘッドセットやゴーグルが必要で、それらを装着することで仮想世界を360度見渡すことができます。
現在普及しているVRヘッドセットの多くが、左右別々のディスプレイがついており、右目と左目を区切ることで映像を分けています。これにより、立体的に見ることができる仕組みになっています。
【技術使用例】
AR(Augmented Reality):拡張現実
コンピューターによって生成された仮想のオブジェクトを、現実世界に重ねあわせて表示する技術です。
【技術使用例】
- ポケモンGO:カメラを通して現実世界にポケモンがいるかのように表示でき、一緒に写真撮影することも可能
- Measure:Apple開発のアプリ。iPhoneのカメラ機能を使用し、あらゆるものの長さを測れる
- RoomCo AR:自宅にいながらARの家具を部屋に配置し、試し置きできるアプリ
MR(Mixed Reality):複合現実
現実世界と仮想世界を重ねあわせて表示する技術です。
AR(拡張現実)とVR(仮想現実)の両方の特徴を備えており、現実世界を見ながら、仮想世界の情報やオブジェクトを重ねあわせて表示が可能です。
MRはカメラやセンサが着いた専用のゴーグルが必要で、これを装着すると、SF映画に出てくるようなディスプレイ上のホログラムが見えます。このホログラムにタッチするような動作をすることで、実際に画面を切り替えたりする事ができます。
2023年6月にApple社は世界開発者会議「WWDC2023」にて、このMR技術を搭載したヘッドセット「Apple Vision Pro」を発表し、米国では2024年2月2日に発売が開始されました。
価格が日本円で50万円と超高額であり、2024年2月時点では米国のみの販売に限定されているが、1月の予約開始当初にはX(旧Twitter)で即トレンド入りするほどの注目製品となっています。
これまでのデバイス操作といえば、PCはマウスやキーボード、タブレットデバイスでは、タッチ動作と物理的操作が当たり前でしたが、このApple Vision Proが市場に投入されたことによって、これからは、視線やジェスチャーでの動作が中心となる可能性が示唆されています。しかしながら、現時点では非常に高額であることもあり、市場に普及できるかは注視する必要があります。
“しかしながら、向上する生産性やコミュニケーション、ゲームなどの体験が、49万円という金額に見合うかどうか。今のところ、それを判断できる材料も、経験も乏しいのが実際のところだ。未来は存分に感じられるが、今現在の強烈な「必然性」を物語るわけではないからだ。”
引用: 東洋経済ONLINE/アップル、約50万円「超ハイテクゴーグル」の正体
バーチャルワールド
「バーチャルワールド」とは、インターネット上に構築された仮想空間のことを指します。
ユーザーは、アバターやゴーグルなどのデバイスを使い、バーチャルワールド内を自由に移動したり、他のユーザーと交流ができたりします。
【技術使用例】
コンサル業界やSIerの取り組み事例
メタバースの4つの主要な技術についてご説明しましたが、実際にコンサル業界やSIerがどのようなプロジェクトを行っているかをご紹介します。
【紹介事例】
- アクセンチュア:3D都市モデル構築・利活用プロジェクト「PLATEAU(プラトー)」
- PwCコンサルティング:社内メタバースイベント
- NTTデータ:隠岐野球教室プロジェクト
アクセンチュア:3D都市モデル構築・利活用プロジェクト「PLATEAU(プラトー)」
同社はメタバースに関する特許を600以上すでに取得し、技術研究に力を入れています。現在、アクセンチュアは国土交通省が取り組む3D都市モデル構築・利活用プロジェクト「PLATEAU」にて、街づくりDXを支援しています。このプロジェクトでは、都市活動のプラットフォームとして3D都市モデルをオープンデータとして公開しており、都市計画・まちづくり、防災、都市サービス創出等の実現を目指しております。
具体的な活用事例としては、物流ドローンのフライトシミュレーションに活用したり、バーチャル都市空間での「まちあるき・購買体験」などに利用されています。
引用: アクセンチュア株式会社/国土交通省Project “PLATEAU”
PwCコンサルティング:社内メタバースイベント
PwCコンサルティング社は、メタバースに関するサービス提供に先駆けて、自社の全社員を対象にメタバース空間でのイベントを開催しました。このイベントは「社員を対象としたメタバースの実証実験」と位置づけ、メタバースを活用した社内イベントにおける課題や効果を洗い出し、同実験から得られた示唆をレポート「延べ8,800名が参加した実証実験『社内メタバースイベント』から見えた可能性」に纏められています。
同レポートによると、
“メタバース空間でのイベントにVRヘッドマウントディスプレイ(VRゴーグル)を用いた参加者は通常のオンライン参加者に比べて内容理解が深まっており、会社や経営陣に対して好感を持った割合が高いことが分かっています。またVRゴーグルを用いて参加した人の約96%が「次回も参加したい」と答えており、メタバースイベントは事業戦略浸透や従業員エンゲージメント向上、社員間コミュニケーションの活性化に有効である”
引用: PwC Japanグループ/メタバースコンサルティング
と実証実験により、効果を確認することができています。
NTTデータ:隠岐野球教室プロジェクト
NTTデータでは、「地方創生×スポーツ」と掲げて島根県隠岐諸島での「隠岐野球教室プロジェクト」が行われました。
地理的ハンディキャップにより、教育の機会が限られる子供たちが、VRを活用して打撃トレーニングを体験した結果、自身の打撃の弱点を把握することができ、高い練習効果が実証されました。また、指導者側も、データをもとに正確な指導ができるため、選手一人ひとりに適切な指導が場所だけでなく季節や天候に問わず行える点がメリットと話しています。
今後日本は人口集中地域と過疎地域に明確に分かれる時代が到来するとされている中で、済む地域によるハンデがなくなることで、より多くの人が場所に捉われない生活をメタバースによって実現可能であることが示唆されています。
参照:NTTデータ/VRがつなぐ 地域の未来 ~隠岐野球教室プロジェクト~
将来的な展望
メタバースを活用することで「現実ではできないこと・難しいことの実現」「距離や時間の超越」を創出出来る可能性が高く、ビジネス変革のチャンスがあります。このような中で2024年現在、多くの企業が様々な実証実験を行っており、当面は一般ユーザーも含め興味関心も高い状態です。いわゆる黎明期のような時期に位置している中で、ハード面を含めた技術研究だけでなく、法整備を並行して行う必要があります。これらの整備を行い、この黎明期を勝ち抜いた企業が次のAppleやMetaのようなBig Techとなり、新時代の中心企業となると考えられます。
メタバースのメリット
- 現実ではできないこと、難しいことの実現が可能になる
- 距離や時間の超越が可能になる
メタバースのデメリット
下記のように、技術面と制度面に課題があり普及には時間を要する。
【技術面の課題】
- VR/AR/MRデバイスの性能向上
- 低価格での提供
- ソフトウェアが誰でも扱える
【制度面の課題】
- 扱うデータが多種多様となることもあり個人情報の取り扱いを含め法整備が必要
- 仮想空間でのコミュニケーション方法やルール整備が必要
富士誇(フジコ)の見解
現在メタバースは黎明期に位置しており、当面は公共系・製造系・教育系など領域を問わず、新しいサービスが生まれては消えてを繰り返すような状況が続くと思われます。その中で、メタバースに関する下記職種の市場価値が高まると考えています。
- コンサルタント
メタバースに興味のある企業に対して、メタバースでは具体的に何ができて、事業に合わせてどのような価値を生み出せるのか提案・実行が求められる。
また、制度面の整備に関して専門的な知識を持った人材として需要が高まる。 - エンジニア
VR・ARデバイスの性能向上、仮想空間の開発・維持管理のためにハイレベルな技術者が必要。 - UI/UXデザイナー
MRの普及に伴い、視線やジェスチャーで誤操作なく快適な動作を実現できるデザイナーが必要となる。 - 3DCGクリエーター
よりリアルな体験を可能とするため、高精度なモデルを作成できる技術者が必要なる。
少しでもメタバースに関してご興味があり、転職をお考えの方は、コンサルファーム・SIerを選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。
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記事作成者:株式会社富士誇 吉田