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SAPコンサルタントの仕事はつまらない?独立したら年収2000万も?

(目次)

SAPとは?経営情報の一元管理で年間数十憶円規模のコスト削減も

ERPとは

ERPとは、Enterprise Resources Planning の略であり、企業経営の基本となる資源要素(ヒト・モノ・カネ・情報)を無駄なく効率的に活用するための考え方で、経営の合理化を図るための考え方です。
従来から用いられている基幹業務システムは、会計処理や人事、生産、販売といった個別の管理に特化したものがほとんどです。

それは個々の業務においては便利な機能でしたが、データの連携という点で経営課題となっておりました。具体的には以下のような課題がありました。

①拠点や業務間でデータが連携されていないため、データの二重入力の手間や入力ミスが起きる(オペレーションコストが増大する)
②データが連携されてないため、必要な情報を集めるのに時間がかかり、リアルタイムで経営分析ができない
③②により、経営コスト(例:在庫過剰に伴う費用)の増加につながる可能性がある

そこでERPを導入することで、財務、人事、生産、販売に関する企業内資源のデータを一元管理できるようになり、経営者が会社全体の資源を無駄なく有効活用できるようになります。

その結果、需給予測の精度改善による在庫数の適正化(年間で数%単位のコスト削減)や要員数の適正化にとも伴う人件費の削減などが実現できるようになります。

そのため数千億円の売上がある企業であれば、年間で数十億円規模のコスト削減につながる可能性があるため、数十億円の開発費用になったとしても、SAPを導入しようとする企業が多いのです。

SAPとは

SAP(Systems, Applications, and Products in Data Processing)は、世界的に有名な企業向けの統合型ソフトウェアパッケージで、ERP(Enterprise Resource Planning)システムの先駆者です。
SAPは1972年にドイツで創業し。1992年には日本法人であるSAPジャパンが設立されています。

SAP社が開発、提供する”ERP”パッケージ製品 「SAP ERP」や「SAPシステム」がSAP製品の代表格として世界中の企業で利用されています。
世界で約22,700以上の企業が統合基幹業務システムにSAP社のソリューションを採用しており、国内でも約2,000社の企業が同社のERP製品を導入していると推計されています。

2025年問題、SAPユーザー2000社に迫る|日経クロステック Active

SAPの優位性

SAPは世界シェア1位(シェア6.8%)となっておりますが、シェアNo1たるゆえんである、SAPの強みをご紹介します。

ERPの国内市場規模とシェアを解説

①企業の幅広い業務の基幹データを統合管理できる

SAP ERPは「受注・販売管理」や「在庫管理」「生産管理」「財務管理」といった基幹業務システムから「人事給与」や「経費精算」「固定資産」「プロジェクト管理」「管理会計」「顧客管理」「予算管理」など、幅広い業務領域をカバーしており、それぞれのシステムから生まれるデータを一元的に管理することが可能です。


他社ベンダーのERPでは、一部機能が対応していないケースがあり、その結果データを一元管理できないケースがある一方で、SAPでは幅広い業務に対応できるという強みあります。

②豊富なテンプレートと機能のカスタマイズ性

グローバルでさまざまな企業に導入されているため、豊富なテンプレートがあります。
またカスタマイズ性や拡張性も高く、企業の既存の業務要件から限りなくGAPがなくなるように調整して導入することができます。

その結果、他のERPパッケージであれば機能が乏しくGAPが出やすいことなどのデメリットがありますが、SAPは現行業務とのGAPを極力抑えた状態でERP導入が実現可能となります。

歴史が長く現行のオペレーションを変えるのが難しい大手企業においては、カスタマイズ性を理由にSAP導入を採択するケースも考えられます。

③グローバルにおける高い導入実績

SAPは全世界的にシェアが高いシステムです。そのため製品に対する信頼性が高いこともメリットです。この点も、実績を大事にする大手日系企業が導入を決断できる強い材料になっていると考えられます。

SAPの導入事例とSAP導入に強い企業

SAPの導入事例

①コイズミ照明株式会社:需要予測に基づく生産管理コストの改善を実現したSAP導入

・従来の基幹システムでは、長期の需要予測ができず、計画外の生産などが発生して現場の負担や費用増加が発生していた
SAP導入により需要予測ができるようになり、生産量が適正化されコスト削減に成功

コイズミ照明株式会社の事例

②丸紅ITソリューションズ:管理会計システム刷新で事業毎の採算性の早期判断を実現したSAP導入

・組織ごとに異なるシステムに情報を入力していたため、事業やプロジェクトごとの採算性が不明瞭だった
SAP導入により、事業やプロジェクトごとの個別収支を素早く分析できるようになり、投資判断ができるように(どのプロジェクトの案件獲得を続ける、案件を停止するなど)

丸紅ITソリューションズ

SAP導入に強い企業

①Abeamコンサルティング:全世界で6,400件超え、日本国内では企業最多である5,480件のSAP認定コンサルタント資格を取得しています。

アビームコンサルティング:SAPコンサルティング

②アクセンチュア:約40年にわたるSAPの導入経験を持ち、現在も年に1,500件を超えるSAP導入プロジェクトの実績を積み重ねています。SAPコンサルタントの数はグローバルで7.5万人以上、日本国内でも有数の認定資格者数を誇る豊富な経験とリソースを有しています。

Accenture + SAP

③デロイトトーマツコンサルティング:SAPのグローバルパートナーとして30年間にわたりSAPコンサルティングを提供しています。20ヵ国で170件以上の旧SAP ERP、SAP S/4HANA、SAP SuccessFactors等の導入実績もあり

デロイトトーマツコンサルティング:SAP

SAPコンサルタントの仕事内容はつまらなくない、やりがいがある

SAP案件の獲得から導入までの流れ

⓪提案活動(案件獲得)

クライアントの経営課題や現行システム環境に対する調査分析を行い、SAP導入によるコスト削減インパクトや費用対効果を試算し、クライアントの経営陣にSAP導入提案を行い案件の獲得を図る。

①要件定義

クライアントの現場における業務オペレーションおよび現行システムの要件を整理しながら、SAP導入後の新しい業務オペレーションおよび新システムとのFit&Gap分析を行い、必要となる業務要件、システム要件の定義を行う。

②基本設計

業務要件やシステム要件をもとに、具体的なシステムの設計を行う。これには、システムインタフェースの設計(UIUX)、データモデルの設計、カスタマイズの定義などが含まれる。

③システム構築

設計されたシステムを実際に構築する。これには、SAPシステムのインストール、カスタマイズ、プログラミング、テストなどが含まれる。また必要に応じてデータ移行作業も行う。

④テストと品質保証

構築されたシステムが要件を満たしているかを確認するためのテストを行う。
これには、ユーザー受け入れテスト(UAT)、システム統合テスト(SIT)、機能テスト、パフォーマンステストなどが含まれる。テストの結果に基づいて、必要に応じて修正や調整が行う。

⑤トレーニングとユーザー教育

クライアント内のユーザーがSAPシステムを適切に利用するためのトレーニングやユーザー教育を行う。これには、業務フローやシステムの操作方法などの説明が含まれる。

⑥運用保守

SAPシステムが稼働し始めると、定期的な監視やメンテナンスが必要になります。また、ユーザーからの問い合わせやトラブルシューティングに対応するためのサポート体制が整えられます。

SAPコンサルタントの役割

SAPコンサルタントは、主に上記の②の業務要件およびシステム要件の定義、③のシステム基本設計に対して職責を担いますが、上記の業務要件定義もシステム要件定義もかなり難易度が高いです。

理由は、SAPは大手企業で導入されることが多く、企業規模が大きくなるほど現場のオペレーションやシステムが複雑になるため、顧客の現場に入り込んで現状を整理する力や導入後に各関係者(現場、システム部門、経営陣)全員が納得できる、システム要件に落とし込む高度な要件定義力(優先順位を付ける力)が求められるからです。

役職が上位になると、さらに①の提案活動(システム戦略や構想策定も含まれる)に関わるようになってきますし、未経験でSAPコンサルタントになった場合は、③や④などの開発テストの割合が増えてきます。

SAPエンジニアとの違いは?

SAPエンジニアの仕事は基本的には上記の③と④の開発やテストが主な業務になってきます。
具体的にはSAPを導入する企業のビジネスや業務フロー・社内ルールなどに合わせて、その企業独自の設定やアドオン開発などを行います。

ただし一概にエンジニアだからといって、②の要件定義に全く関わらないというわけではなく、エンジニアでも②のシステム要件定義まで任されるケースもあります。

まとめると、SAPコンサルタントはオペレーション含むビジネスの観点から全体的な方向性を示し、SAPエンジニアはその方向性を実現するために技術的な作業を行うという違いがあります。

SAPコンサルタントの忙しさや大変さは?

Openworkによると、SAPで有名なアビームコンサルティング株式会社の残業時間は、
「平均35.5時間」となっており1日2時間弱残業となっており、18時終業だと20時前後に会社を退社することになります。

これは「コンサルタント」という知的労働、難易度が高い仕事を考えたら、むしろ早いと感じる方がいるのではないでしょうか。

案件のフェーズでみると、上流のシステム構想化や業務要件定義のフェーズは、クライアントと握っているスケジュールに、余裕があることが多くワークライフバランスが保ちやすく、一方で開発に近いフェーズになると、スケジュールがタイトな場合が多く忙しくなるケースが多いです。

SAPコンサルタントの魅力

①大企業の役員クラスとの人脈が築ける

SAP案件は大手クライアントにとっても投資金額やビジネスインパクトがかなり大きいため、部長や役員クラスと積極的にやりとりすることが多くなります。

そのためSAPコンサルタントは、プロジェクトを通じて大企業の経営層や役員クラスの方々と直接関わる機会が多く、これにより貴重なビジネスの人脈を築くことができます。

人脈を通じて、転職先での案件獲得(≒高い人事評価の獲得)だけでなく、独立した際に個人で受託する案件を依頼してもらえることもあります。

②独立しやすい(フリーランス案件の豊富さ)

SAPのフリーランス案件の数を調べたところ、某サイトではフリーランスコンサル案件が8,000件ありましたが、そのうちSAP案件だけで「1,391件(全体の20%弱)」もありました。

これだけフリーランスのSAP案件があると、独立後も安定して収入を得ることができます。

③ITコンサルタントへのキャリアアップも期待できる

SAPコンサルタントの主な職責である業務要件定義やシステム要件定義は、クライアントの基幹業務領域での業務遂行を通じて、極めて高い業務要件・システム要件定義力が身につきます。そのためどこかでSAPから離れたいと考えた際に、SAP以外の他のシステム領域(AI、BI、CRM、RPA、その他業務システム)のITコンサルタントに移ることの障壁はそれほど高くありません

SAPコンサルタントは正社員でも独立しても年収2,000万を目指せる

SAPコンサルタントの正社員年収は「840万円」と他IT職種より200-300万円高い

Dudaで「SAPコンサルタント」で検索し、30社の求人情報から平均的な年収を試算したところ「約840万円」という結果になりました。厚生労働省が発表している「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、インフラエンジニアの平均年収は660万、アプリケーションエンジニアが550万となっているため、それらの代表的なIT職種と比べ、平均年収で200万~300万が高いのがSAPコンサルタントです。

また当社の求人サイト「誇高(https://cocoo.inc/)」に掲載されている、SAPコンサルタント求人の年収は、スキルや経験にもよりますが「1,000万円~2,000万円」のレンジとなっており、かなりの高給与を目指すことができます。

フリーランス案件の平均単価は「月160万」のため、年収で2000万近く稼げる

フリーランス案件単価は年数によって変わってきますが、High Performer でSAP案件の単価を調べたところ、平均単価が160万円で最高で240万円の案件までみつけることができました。

そのため独立しても、他の職種と比べ容易に2000万円近く稼ぐことができます。

SAPコンサルタントになるために必要なもの

高いコミュニケーション能力

とくに大企業の基幹システムでは現場で積みあがったオペレーション、運用ルールをかなり深く理解するプロセスが必要不可欠になります。

そのため初期の段階では、クライアントの現場に足繫く通って現場の声を聞き、また現場だけでなく本社のシステム部門や経営層まで含めて、丁寧にヒアリングを行い情報を吸い上げられる高いコミュニケーション能力が求めらます。

問題解決能力・提案力

SAPは本来企業側のオペレーションをシステム側に合わせるという思想のもと作られたシステムです。
また一般的にパッケージのシステム開発はカスタマイズを行うほど、開発費や保守費用が膨らんでしまいます。

そこでSAPコンサルタントが発揮すべきValueは、いかに顧客の課題に対して優先度をつけ、必要があれば既存の業務フローを抜本的に改革すること含めクライアントに提案を行うことなのです。

それによりカスタマイズが必要な部分を最小化することで開発費を抑えつつ、クライアントの課題解決が実現できるようになります。

SAPやERPに関する知識(システム化するため)

SAPエンジニアやコンサルタントには、SAPシステムとそのモジュールに関する深い理解が必要です。例えばERP、CRM、SRM、HCMなどの主要なSAPモジュールの知識、またはS/4HANAやSAP Fioriなどの新しいテクノロジーに精通していることが求められます。

特に技術系コンサルタントの場合、ABAPなどのプログラミング言語や、SAPのカスタマイズ方法についての知識が重要です。

財務や会計、物流などの業務知識や経験

前述したコミュニケーション能力や問題解決力、SAPシステムの知識があることに加え、さらに財務や会計、物流などの業界知見があることで、業界や企業ごとに背景が異なるプロジェクトに参画しても、個々の業務フローを瞬時に理解しSAPソリューションをどのように実装するかの解をスムーズに出すことができます

SAPに関する資格

SAP社が提供する下記のような公式認定資格を取得することは、専門性の証明として役立ちます。資格を取得することで信頼性が向上し就職やプロジェクト獲得の際に有利になります。

  • SAP Certified Application Associate
  • SAP Development Specialist
  • SAP Certified Technology Associate

ただし転職活動時や案件参画にあたっては実務経験を見られることが大半なので、資格がなかったとしてもそれほど仕事をするうえで大きなビハインドにはなりません

SAPコンサルタントは将来性があり、今後も求人が増え続ける

SAP含むERP市場は安定的に伸びているため、今後も求人が増え続ける可能性があるというのが弊社の見解です。

引用:2022年のERPパッケージライセンス市場は前年比10.9%増の1,406億円

SAP含むERP(パッケージシステム)市場が伸びている背景としては、従来大手企業ではスクラッチで自社システム開発をするのが通例だったのが、近年では競争力の源泉になりえない領域については、システム開発においても外部のパッケージ等を積極的に利活用することで、中長期におけるITコストの削減につながると考える企業が増えているからです。

未経験でSAPコンサルタントになるには、アプリ開発かインフラ経験が必要

大前提としてSAPもアプリケーションの一種です。そのため現在すでにアプリケーション設計や開発経験があると、SAP未経験でも採用してもらえる可能性はかなり高くなります。

というのも現在の市況が求人需要に対して人材の供給不足となっているため、未経験を育成する手間が一定発生したとしても、人を採用したいというニーズがあるからです。

またアプリケーション開発の経験はなかったとしても、ITインフラ領域(サーバ、OS、DB、ネットワーク、クラウドなど)のいずれかに強みがある方や、ITインフラの設計・構築・運用のいずれかの経験がある方についても、SAP未経験者として採用してもらえる可能性があります。

仮にSAP未経験で採用された場合は、最初は育成枠となるため、年収帯が500万前後となる可能性もありますが、SAPエンジニアとして3-5年修練を積むことで、600-1000万円に年収をあげることは全然難しくありません。

富士誇が保有するSAP求人をご紹介

経験者向けのSAP求人

①EY:SAPを中心としたパッケージソリューションを用いた企業変革コンサルタント
【募集要項】
・年収 ~2000万円
・これまでのSAPプロジェクトの経験を活かして、業務寄り/上流、グローバル、最新デジタルソリューションを活用したプロジェクトに挑戦したい方
・これまでの企業変革プロジェクト(IT・業務)の経験を活かしてSAPビジネスに挑戦したい方、立ち上がりから成長段階にはいった組織で、中核的な役割を担いたい方

https://cocoo.inc/kyujin/6845

②Dirbato:SAP_Business_Sector
【募集要項】
・年収 800万円~2,000万円
・SD/MM/PP/PS/FI/CO/QM/BO/BPC/FSCM/BASISのいずれかの業務プロセス経験5年以上
・コンサルティングファーム/SIerにおける、SAP導入開発経験5年以上

https://cocoo.inc/kyujin/7989

③企業名非公開:SAPコンサルタント(全国/フルリモート相談可能)
【募集要項】
・年収 600~2,000万円
・SAP導入/開発/運用保守いずれかの経験
 └FI、CO、MM、PP、SD

https://cocoo.inc/kyujin/7284

未経験者向けのSAP求人

④電通総研:SAP システムエンジニア ※SAP未経験者可
【募集要項】
・年収:~1,200万円
・ITインフラを構成する各種技術(サーバ、OS、DB、ネットワーク、クラウドなど)のいずれかに強みがある方
・ITインフラの設計・構築・運用のいずれかの経験がある方

https://cocoo.inc/kyujin/8011
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